今日は筋肉と骨(骨密度)の重要性について書きたいと思います。この記事は「筋肉学入門 著者 石井直方」を参考にしています。詳しくはこちらの書籍をご覧ください。
筋肉(骨格筋)は男性の場合、体重の約40%、女性は約35%の質量をしめています。筋肉の数は全身に400以上あり糖質や脂質をエネルギー源としています。さまざまなホルモンの分泌にも関わっていると考えられています。
約450万年前から現人類と類人猿に分かれ、人類の二足歩行が始まり、お尻(大臀筋)や脊柱起立筋が発達し、脳を発達させ直立することで手先も自由となり、細かい作業も、こなせるほどに発達しました。
一方、類人猿は二足歩行も出来ますが、直立ではなく骨盤は寝ています。お尻(大臀筋)は小さく、ハムストリングは発達しています。
人類の脳が大きくなった理由は、脳の重さが垂直にかかる為、重さを軽減できる為だと考えられます。
筋の役割は、しっかりとバランスを保ち「立つ、歩く、走る」為には必要不可欠であり、筋肉の収縮によって起きるポンプ作用で、全身に血液を運び、熱を発して体温を保っています。また筋肉によって、関節や骨、内臓も守られています。
筋肉の役割を(車)で説明すると、エンジンは筋肉であり、燃料を送るホース類は血管、駆動力を伝えるパーツ類は腱や骨、関節にあたります。
筋肉には平行筋(または紡錘状筋)と羽状筋があり、伸筋には羽状筋が多く姿勢の維持やジャンプの際に使われます。
屈筋には平行筋が多く、足や手、体を曲げる際に使われます。
筋の収縮は太いフィラメント(ミオシン分子の束)と細いフィラメント(アクチン)が滑りあうことで起こります。結合し滑ったり、離れたりを繰り返している。筋を緩めた時は離れた状態になります。
大脳の運動野が収縮の指令を出した際に、カルシウムイオンが放出され収縮のシグナルを出します。また筋肉には軸索と呼ばれる運動神経が繋がっています。
体重70キロの人が発揮できる筋力のは推定は約17トン、とんでもない数値です。あくまで理論上の数値ですが、計算上は出せることになります。日常で使われる筋の出力は最大70%程度に抑えられています。
筋肉はトレーニングを始めると筋力の抑制が減り1~2ヶ月で筋力は増大します。ですが筋量は現段階では、あまり増えません。筋繊維の組成は遺伝によって、ある程度決まっているようですが、誰でも幾つになってもトレーニングで筋肉は付きます。筋繊維の組成の平均は速筋が約50%、遅筋が約50%です。
筋力は年齢を重ねるにつれて落ちやすく、40歳以降の方は、平均で年1%ずつ筋力が衰えます。とくに体幹の筋肉、抗重力筋が落ちやすく、太もも前面の大腿四頭筋は、とくに落ちやすいため、注意が必要です。また抗重力筋が伸び縮みをすることでバランスをとっていますが、日常生活で悪い癖が付くと悪い癖を記憶して歪みを作り、肩こりや腰痛を引き起こします。
宇宙飛行士の方が宇宙空間での滞在中に、毎日2時間半のトレーニングを行っていても、地上に帰還して筋力を図ると、以前と比べて平均30%筋力が低下しているようです。筋肉は恐ろしいほど落ちやすく、全く動かさない場合、1週間で20%、1ヶ月で、なんと80%落ちると言われています。足を伸ばす際の筋力は70歳で約半分、80歳で3分の1になると言われています。30歳前後で片足スクワットが出来ない方は要注意です。
重要な筋肉ほど加齢に伴って落ちやすく、出来るだけ若いうちから運動を行うことが大切です。ですが高齢の方でも筋肉が付かないわけではありません、アメリカの研究では平均89歳の女性で筋肥大が起こったとの報告もあります。
また骨が脆くなると筋肉が付きにくくなります。
骨の構造はかたい骨基質(骨マトリックス)と、さまざまな細胞から出来ています。骨に含まれる主要な細胞は「骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞)の3つです。骨は「骨形成と骨吸収(分解)」を繰り返し、劣化した骨を絶えず新しく入れ替えています。
骨は成長期から運動を行っている子ほど強く、大人になっても同様の傾向があります。筋肉は運動をしなければ維持できなくなっていきますが、骨はあるていど貯金が出来るようです。とくに女性は閉経後に骨密度(BMD)が低下しやすく注意が必要です。筋トレや運動は骨密度の低下を防ぎ、ウエイトトレーニングやエアロビクス、バレーボールも効果的です。